【ネタバレ感想】レイクビュー・テラス 危険な隣人|一番怖いのは「正義」を語る隣人だった

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アメリカ映画

基本情報

  • 原題:Lakeview Terrace
  • 邦題:レイクビュー・テラス 危険な隣人
  • ジャンル:サスペンス、スリラー
  • 製作国:アメリカ合衆国
  • 公開年:2008年(日本では劇場未公開)
  • 上映時間:110分
  • 監督:ニール・ラビュート
  • 脚本:デヴィッド・ローヘリー、ハワード・コーダー
  • 製作:ウィル・スミス、ジェームズ・ラシター
  • 音楽:ジェフ・ダナ、マイケル・ダナ
  • 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
  • 製作費:2,000万ドル
  • 興行収入:約4,470万ドル 




あらすじ

白人男性クリス(パトリック・ウィルソン)と黒人女性リサ(ケリー・ワシントン)の新婚夫婦は、ロサンゼルスの住宅街「レイクビュー・テラス」に念願のマイホームを購入し、幸せな新生活を始めます。しかし、隣人である黒人警官エイブル・ターナー(サミュエル・L・ジャクソン)は、異人種間の結婚に強い偏見を持ち、二人に対して執拗な嫌がらせを始めます。エイブルの行動は次第にエスカレートし、夫婦の生活は脅かされていきます。やがて、クリスとリサはエイブルに立ち向かう決意を固めますが、事態は予想以上の展開を迎えます。 

「もしも危ない隣人が警察だったら・・・」というもしもシリーズ。

こういうやつが警察になると本当に厄介ですね。しかも実際にいそうだもん。

制作はあのウィル・スミス。何故か日本では劇場公開されておりません。

本作のテーマ:正義の仮面を被った「危険な隣人」

この映画の最大の恐怖は、「敵」が一般市民ではなく「警察官」であること。

エイブル・ターナーは権威を持ち、法に守られ、しかもそれを熟知している。その立場を利用して隣人を追い詰めていく姿は、どんな怪物よりも現実的で恐ろしい。

淡々とターナーによる嫌がらせが続いていき、観てるほうも徐々にストレスが溜まっていく。

何が一番怖いかというと、彼は自分を正しいと思っていることだ。自分が厄介な人物だと微塵も思ってない。
自分は地域の秩序を守っている、社会の正義を体現している――そう本気で信じている。だからこそ悪意が悪意として認識されず、止まることなく暴走する。




ターナーの動機:小さな心の闇が社会の病巣を照らす

エイブルの執着は、単なる人種差別や偏見だけではない。

過去に妻を亡くし、浮気されていたという心の傷。そして自分の隣で「幸せそうに寄り添う異人種カップル」が、彼のトラウマを激しく刺激する。

彼にとっての「クリスとリサ」は、自分の過去を見せつける鏡のような存在。

だからこそ排除したくなり、攻撃的な行動に走る。

だが、その動機はあまりに個人的で、スケールが小さい。

観客としては「そこまで執着する意味があるのか?」と疑問を抱くが、最後にすべてがつながったとき、彼の行動の根底にある孤独と怒りが浮かび上がる。

だけど普通に犯罪だからね。この映画のレビュー読んでるとなんとターナー側の目線で彼を応援して観てる人もいたりして…

幸せな人を観るのが嫌いですか?

サミュエル・L・ジャクソンの怪演が光る

エイブル・ターナーというキャラクターを演じるのは、サミュエル・L・ジャクソン

彼は見事に「正義を盾に暴走するモンスター」を演じ切っている。流石ですね。ちゃんとイライラ・不愉快な思いをさせてくれました。彼は本当に実力のある役者だ。

撃たれたとき、どこか観客もホッとしてしまう――それほどまでに彼の存在がストレスを与えていた証拠だ。めちゃくちゃスッキリとした。

なぜ日本では劇場未公開だったのか?

ウィル・スミスが製作に名を連ねていながら、日本では劇場未公開。

理由は明確にはされていないが、テーマがアメリカ社会の人種問題・警察の権力構造という日本では共感しにくい社会背景にあったからかもしれない。

だがそれこそ、この映画が持つ「リアリティ」なのだ。

ただのサスペンスではない。社会的な問題提起を内包した「現代型スリラー」として、見逃すには惜しい作品である。

まとめ:静かな狂気が心を削る、隠れた名作スリラー

『レイクビュー・テラス 危険な隣人』は、ド派手な演出やショッキングな殺人事件があるわけではない。
だが、静かに、着実に、観る者の精神を締め付けてくる
そして問いかける――「あなたの隣人は、本当に安全な存在ですか?」

屈指のリアリティと不快感を与える本作。
サスペンス好き、スリラー好き、そして社会派映画が好きな方に強くおすすめしたい一本だ。

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