祖父母の家に1週間“お泊まり”するだけの話なのに、なぜここまで怖いのか。M・ナイト・シャマランの異色ホラー『ヴィジット』(The Visit)。製作はブラムハウス。派手な怪物も血しぶきもないのに、オーブンの前でしゃがむ祖母、納屋、床下、夜の廊下——生活の隙間がすべてトラップに変わる。これぞ“シャマラン復活”と言われた所以。
本稿ではネタバレ全開で感想を述べてまいります。
基本情報
監督・脚本:M・ナイト・シャマラン
製作:ジェイソン・ブラム(Blumhouse )× シャマラン
公開:2015年(米)/日本公開 2016年
上映時間:約94分
出演:オリヴィア・デヨング、エド・オクセンボールド、ディアナ・ダナガン、ピーター・マクロビー、キャスリン・ハーン
ジャンル:POV(擬似ドキュメンタリー)× ホラー× ダークコメディ
規模:推定製作費約500万ドル → 世界興収約1億ドル超のスマッシュヒット(“低予算×高回収”でシャマラン復活のきっかけに)
あらすじ

離婚で家を出た母に代わり、姉ベッカと弟タイラーの兄妹が、会ったことのない祖父母の家に一週間ホームステイ。
映画監督志望のベッカは滞在をドキュメンタリー撮影として記録する——しかし夜9時半の“門限”を過ぎると、祖父母の言動はどこかおかしい。納屋、地下、オーブンの中、そして夜の廊下……カメラが回るほど“違和感”は増幅していく。
ホラーにしたいのか何なのか
土曜日の夜、あまりにすることがなくて「シックス・センス」のナイト・シャラマンの映画を観た。ちなみにこの「ビィジット」は2回目の鑑賞だ。2回目を観るということはそんなに悪くなかった印象だからだ。
しかし、シャラマンよ。
なんで中途半端なことするんだい?
ホラー映画なのに所々ポップなヒップホップシーンいらんやろ。
怖がらせるならちゃんと怖がらせてよ。だから全体として中途半端な印象になってしまう。
エンディングのラップシーンも、ちょい複雑です。これ映画館でどんな空気になったんだろう。
ご都合主義な設定
何よりプロットが全体的に都合が良すぎるんです。15歳の姉ベッカと13歳の弟タイラーは、一切付き合いがなかった祖父母からの誘いを受けペンシルベニア州にある祖父母の家で月曜日から土曜日まで過ごすことを決めます。
この一切会ったことがないってのが話の肝ですが、ちょっと都合がいいよね。おまけに祖父母の家に携帯電話の電波は届いていなかったとか。
ハリウッドって子供が残酷な殺され方したらめちゃ批判殺到するみたいなんで主役が子供って時点で「彼らは死なないんだろうなぁ」と何となく想像がつく。
おまけに「映画を撮る」と言いながら、撮るシーンが超断片的すぎるでしょ。
個人的な話ですが私、小学生の頃映画撮ろうとしたことがあるんだけどその時はちゃんと脚本書きましたよ。幼稚ながらストーリーを組み立ててました。
彼らが撮るものはあまりに中途半端すぎる。「あとでなんかのシーンに使えるかも」程度なのか、インタビュー映画にしたいのか、彼らが何を撮りたいのかがよくわかりませんでした。
「カメラの映像に移っていた老人たち、気持ち悪いでしょ?」的な、なんとも都合のいいアイテムに過ぎません。
結果、お化けとかじゃなく、単に精神病院から抜け出したイカれた老夫婦だったんだど、これも大人ならぶん殴って終わりだろうけどやっぱり子供って設定にしたのはあざといな。
やりようによっては秀作になっていた?
とは言いながらもこの映画、ホラーとしてはそこまで悪くないんです。最終夜まではいい感じにドキドキさせてくれる。きっと映画館で観てたら多少は怖いんだろう。
夜になり、祖父らが寝付くという21時30分を1時間ほど越えた頃、眠れないベッカは小腹を満たすべくキッチンへ向かうが、その途中で激しい嘔吐を繰り返しながら歩く祖母を発見し、慌てて部屋へと逃げ戻る。昼間は明るくて感じのいい祖父祖母が人間が変わったような姿になっていた。
この設定とかもフツーに気持ち悪くていい設定だと思います。
結局、自分たちが祖父祖母だと思っていた2人の老人たちが実は全然関係ない他人だったという設定もなかなかゾッとさせてくれます。
あとシンプルに暗闇で奇行に走る老人って奇妙だしね。
だけどさすがに裸でドアかきむしってたのは笑ってしまったよ。ホラーとコメディーは紙一重。
色々いい要素は詰め込んでるのにちょいちょいポップな演出で台無しに。
ラストのガキのヒップホップはそれまでの緊張感が一切なくなります。一体何がしたいんだろう?
ホラーにするにしてもなんでこんな中途半端な仕上がりにするのか理解不能です。
少しでも後味良くしたかったのかな?
ごめんなさい、やっぱりシャラマンさん、あんた「シックス・センス」がたまたま…
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