映画『ディナーラッシュ』あらすじ・ネタバレ感想・考察。グルメオシャレ系映画かと思ったらサスペンスだった

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アメリカ映画

ニューヨークの夜、予約が取れない人気イタリアンレストラン。
煌びやかなテーブルと熱気あふれる厨房、そこに集うのは食通や評論家、ギャングに投資家まで…。

一見するとおしゃれで洗練されたグルメ映画かと思いきや、2000年に公開された『ディナーラッシュ』はただの料理映画ではなかった。

たった一夜のディナーの裏で繰り広げられるのは、家族の確執、欲望、そして血の匂いを帯びたサスペンス。

華やかな皿の影に潜むニューヨークの裏社会を鋭く描いた本作は、観終わった後にじわじわと「食」と「人間関係」の深さを考えさせられる一作。

本稿もネタバレ全開で感想を述べていきます。

基本情報

  • 作品名:ディナーラッシュ(Dinner Rush)
  • 公開年:2000年(アメリカ)
  • 製作国:アメリカ
  • ジャンル:クライム/ドラマ/フードムービー
  • 上映時間:99分
  • 監督:ボブ・ジラルディ(Bob Giraldi)
  • 脚本:リック・シャピロ、ブライアン・カルフー
  • 音楽:テリー・ウォルドマン
  • 製作会社:FilmColony
  • 日本公開:2002年

主なキャスト

  • ダニー・アイエロ … ルイス・クロッコ(イタリアンレストランのオーナー)
  • カーク・アセヴェド … ダンカン(シェフ/ルイスの息子)
  • ヴィヴィアン・ウー … ニコール(美食評論家)
  • エドアルド・バレリーニ … カルロ(シェフ)
  • マイク・マクグローン … ケン(シェフ)
  • ジョン・コルベット … ケンの友人/投資家
  • サンドラ・バーンハード … ナディア(アーティスト)




あらすじ

ひそかに賭けの胴元を務めている「ジジーノ」のオーナー、ルイ(ダニー・アイエロ)の相棒が殺される事件が起きた後の、ある一晩の物語である。ルイの息子でもある野心的シェフ長のウードは、店をトレンドなレストランに変えてしまい、父親と対立。そのウードにはアシスタントのシェフ、ダンカンという仕事と恋のライバルがいるが、彼は無類のギャンブル好きで借金の山に追われている。そんな個性豊かな面々が集結し、今夜も繁盛する店に、クィーンズ地区で幅をきかせるギャングのブラック&ブルーが乗り込んできた…。

群像劇としての魅力

本作はあるイタリアンレストランの一夜の群像劇を描いたもの。

監督のボブ・ジラルディは舞台となったレストランの実際のオーナーであり、また映画はわずか21日間で撮影されたらしい。だからかなりリアルなんだ。

てっきりミニシアター系のサブカル連中が好きそうな、ただのなんちゃってグルメオシャレ系映画かなと思ったら意外にも本格的なサスペンスだった。

レストランという限定空間、登場人物の数の多さ、次々と持ち込まれるトラブル。

話のテンポはよくて観客は「ただの食映画」だと思い込んでいるうちに、気がつけば裏社会と復讐劇に飲み込まれていく。

実際に海外の厨房の中ってこんな感じで戦場なんだろうな。

客席、厨房、オフィスといった空間に多様な人間関係が詰め込まれ、群像劇としての完成度が際立ちます。

  • 傲慢でトレンディ志向の息子
  • ギャンブルに溺れるシェフ
  • 強気な評論家
  • レストランを利用するギャング

「一夜で起きる事件」を描きながらも、それぞれの人生や矛盾が浮かび上がってくる構造は非常に巧妙。




父と息子の確執

ウード役のエドアルドバレリーニは確かにイケメンだけど目が若干怖い。

ストーカー役とか引きこもり役とかやらせたらリアルかも。まぁこの目もセクシーと言えばセクシーなのかもしれないけど。

この人ドラマの脇役のイメージで他に代表作ってなかった様に思う。いまいちパッとしない役者さんなんだけどこの映画では短髪にしてなかなかスマートでカッコいい。

話としては特に大したことはない。

物語の核となるのは、オーナーと息子の対立。

父は伝統を重んじ、息子は流行を追う。「クラシック vs モダン」という対立は、料理業界そのものの縮図。

そしてそこに、

相棒を殺されたイタリアンレストランのオーナーがギャングに復讐を果たすというもの。

オーナーは金融関係の男にギャングを殺す依頼をしてたんだけどこの男が何者なのかは一切不明。

一番なさそうなやつが実は殺し屋だったみたいな意外性を待たせたかったんだろうけどそこら辺は雑。

オーナーの息子ウードは早くこの店を自分のものにしたいもんだから親父に引退して欲しくて何度も説得をするんだけど毎回拒否られ衝突。

ようやくオーナーは引退することになったその日に店でギャングが死ぬ。

息子に店を譲ったその日に自分が企てた殺人事件ってオーナーも随分だよな。

ニューヨークでは店で殺人があればその年は売り上げが増えるみたいなくだりがあるんだけどそれってニューヨークあるあるなのかな?

それともただのジョーク?

その辺の感覚は日本人にはないので興味深かったけど。




登場人物みんなアホ

ギャンブル好きのダンカンに関しては終始イライラさせられた。

借金で首が回らず、厨房で働きながらもギャンブルにのめり込む姿は、完全にギャンブル依存症だしこの日もギャンブルで大負け。

さらに営業中にも関わらず外で彼女とヤっちゃうアホ。

こんなやつを好きになるアジア系の女もアホだし、従業員に手出しまくるウードもアホ。

さらにこいつはニューヨーク一の女性料理評論家と寝て店の評判を上げようとする姑息さ。

ちなみにこの女性評論家は結構イカつい顔してて「これと寝たのか?」と苦笑いしてしまった。

とにかく登場人物全員に共感ができない。




料理とレストラン描写の妙

ストーリー自体は別にどうってことない話だけどテンポがよくて結局最後まで観てしまった人は多いのではないだろうか。

厨房のバタバタ感、注文の怒涛、シェフ同士の緊張感。

戦場としてのレストランを生々しく映し出しているのはリアルだと思いました。

だけど、肝心の料理自体は特に何も思わなかったけどみんなかやたらめったら褒めまくるのには不自然さがある。

特に和食と違ってあんな中華料理みたいに雑に作って繊細な味って出せるのかな?




まとめ

『ディナーラッシュ』は「食映画」でも「マフィア映画」でもあり、「親子映画」でもある。

ジャンルが混ざり合ったカオスな作品だからこそ、観る人によって全く違う感想が生まれる稀有な一本。

  • サスペンスを求める人
  • グルメ映画が好きな人
  • 親子の確執を描いた人間ドラマを観たい人

それぞれが満足できる要素を持ちながら、100分足らずでまとめきった手腕は見事。

レストラン映画でありながら、根底にはマフィア映画の系譜が流れていて、「ゴッドファーザー」や「グッドフェローズ」にも通じる「食と犯罪」。

けど、今こうして映画のこと思い出してブログ書いてたらイタリアンが食べたくなってきたのは事実。

すごいオススメというわけではないけどつまらなくはない。そんな映画でした。

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