フジテレビが誇る歴史的なドラマの一つ『北の国から』。
本作は1995年に放送され視聴率30%を記録したスペシャルドラマ。
本稿は自由気ままにネタバレ感想を。
- 形態:フジテレビ系スペシャルドラマ(シリーズSP第6作)
- 放送日:1995年6月9日(金) 20:04–23:22(198分・単発)
- 原作・脚本:倉本聰/演出:杉田成道(音楽:さだまさし)
- 主な出演:田中邦衛(五郎)、吉岡秀隆(純)、中嶋朋子(螢)、宮沢りえ(小沼シュウ)、横山めぐみ(大里れい)、緒形直人、岩城滉一、美保純、大竹しのぶ ほか
- 視聴率:30.8%(関東・年間高視聴率番組ランキング)
あらすじ

富良野でごみ収集の臨時職員として働く純(吉岡秀隆)は、札幌の恋人・れい(横山めぐみ)と関係がぎくしゃく。そんな折に出会ったのがシュウ(宮沢りえ)。一方、看護師の螢(中嶋朋子)は、妻子ある黒木と駆け落ちしてしまう。
純はシュウに惹かれつつも彼女の“過去”を知って動揺。れいの結婚、螢の不倫をめぐる家族の揺れの中で、五郎(田中邦衛)はただ一言——「何をしようと、俺は味方だから」。それぞれの“秘密”が交錯し、夜の札幌へ純は車を走らせる……。
純の元カノ、れいちゃん最低
蛍は妻子ある医者と不倫して駆け落ち、純はAVに出演した過去をもつシュウと恋愛。
今回もなかなかハードな内容です。
毎度のことだど、五郎も色々子供達に振り回されて大変です。
そして今回は純の初恋相手であるれいちゃんとの決別の回でもある。
「私、プロポーズされたの」
あれ?れいちゃんって純と付き合ってたはずじゃなかった?
これは一瞬頭がフリーズする展開。
親にも紹介されてる状況ってことはまさかれいちゃん純と二股かてたのか?
そして自分の結婚式当日の早朝に元カレの純に電話をかけて
「もしかしたら純君の事がまだ好きかも」的なことを話すって
この女イタいだろ…
結婚相手にも失礼だし、純の気持ちを弄びすぎてる。
ここにきてれいちゃんが突然メンヘラ化し、行動がブレブレになってきたように思える。
複雑な女心を表現してるんだろうけど、実際忘れようとしてる元カノからこんなことされたらたまったもんじゃない。
人の物を「とる」という伏線
本作では純が捨てられた粗大ゴミを拾って自身の生活用品に当てていたり、五郎が生ゴミを盗んだり、シュウの祖父の形見の時計を拾ってきたりと、随所随所に「人の物をとる」という話が盛り込まれている。
これは紛れもなく人の旦那を取った蛍の話の伏線だろう。
映画「卒業」の花嫁を奪うシーンについて語るのも同じ要素だ。
こうやって見返すと結構細かいんですね、倉本聰先生。その巧みな脚本に改めて驚かされる。
蛍から浮気されたにも関わらず蛍の精神状態を心配する緒方直人、優しいな。
前作では「魅力0」と言ってしまって本当に申し訳ない。
「北の国から」不倫呪縛問題
けれど不倫相手はそんな緒方直人とは真反対のようで周囲から浮いてる変わり者みたい。
蛍って意外と振り回されたい人なのかな?
黒板五郎も奥さんの不倫で3人で住むことになったり、嫁の妹の雪子おばさんも何年も不倫関係続けて捨てられるし、挙げ句の果てに蛍まで…
黒板家ってずっと不倫の呪縛に囚われてるよね。
そんな蛍の不倫相手の「嘘は幸せを保つ人類最大の発明である」という言葉が何気に「名言」かもと思ってしまった。
だって奇しくも五郎だって蛍の不倫相手の妻である大竹しのぶがやってくるまで凄い幸せそうだったし、純も彼女のシュウのAV出演を知るまで平穏な日々を送っていたもの。
今まで自分の感情をあまり出してこなかった蛍がここで一気に暴走モード。
褒められることでは無いけど「後悔ないようやれ!」って感じ。
新しい彼女・シュウ
本作から登場した宮沢りえ演じるシュウは天真爛漫な無邪気さと、ふと思い詰めた表情を浮かべ影の面を兼ね備えた女性。
五郎もシュウといる時凄い楽しそうだし、一番しっくりきてると思うんだけどこの後の作品では別れが待ってるんだよね…
五郎との温泉シーンの美しさと言ったら…間違いなく名シーンでしょう。
三時間も喫茶店で純を待ってるなんて健気じゃないか。
自分が惚れた女がアダルトビデオで他の男にやられてる。それをまだ20歳ちょっと純に受け入れられるか?倉本聰さん、あんた残酷だなぁ。
このシーンも携帯がないからこそのシーン。
いまならLINEで「まだ?」で終わるもん。
95年というとちょうどWindowsが販売されてネットが普及した年。
相手を想ってじっくり待ったり、手紙を書いたり、色んなものが時代が便利になるにつれてそういうものがここからどんどん消えていくターニングポイントになった時代。
なんだか感慨深いです。
良い作品ではあるけれど縦横無尽に飛び回る蛍と比べると純の話が少し弱い気がするかな。
むしろそんな妹に振り回されたり、シュウに振り回されたりちょっと今回の純にかかるストレスは結構なもので気の毒に思える。
さて、次は問題作である「’98 時代」を観るとしよう。
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