2019年のTBS日曜劇場『グランメゾン東京』は、木村拓哉×鈴木京香×玉森裕太が“ミシュラン三つ星”を目指すフレンチ厨房を舞台に、再起とチームの物語を丁寧に煮詰めた一本です。
本稿は私がこのドラマを観て感じた感想をネタバレ全開で記していきます。
基本情報
- 放送枠:TBS系・日曜21時「日曜劇場」
- 放送時期:2019年10月期/全11話(2020年に総集編・特別編も放送)
- 主演:木村拓哉(尾花夏樹)
- 共演:鈴木京香(早見倫子)、玉森裕太(平古祥平)ほか
- 主題歌:山下達郎「RECIPE(レシピ)」
- ジャンル:料理×再起×チームドラマ(ミシュラン“三つ星”を狙うフレンチ)
あらすじ

パリの星付きレストランで名を馳せたシェフ尾花夏樹(木村拓哉)は、ある“事故”を機に失墜。日本に戻った尾花は、実直で腕の確かなシェフ早見倫子(鈴木京香)と出会い、再起をかけてレストラン「グランメゾン東京」を立ち上げる。宿敵の有名店や辛口の評論家、資金・人材・オペレーションといった現実的ハードルに挑みながら、ミシュランの星を狙う——という王道の成長&再生物語。
キムタクはキムタク
これもキムタク様が全面に出てるドラマ。誰に対しても上から目線で素直じゃない性格。
今までのキムタク様のキャラクターの延長線上です。単にシェフになっただけです。
なぜキムタクはこういう役が多いのだろうか?
むしろキムタクの「俺様キャラ」が定着してるので脚本もそれに合わせてるのか、事務所の戦略なのかは不明だが、その弊害として何を演じてもキムタクで「金太郎飴俳優」と卑下されてしまうのは本末転倒な気がしてならない。
そもそも女好きの設定なのに「リンダの元カレ」って言うだけで特に女好きなエピソードが一切出てこない。いる?その設定。「破天荒」というキャラクターを作りあげたかっただけなんだろう。
ちなみにキムタクが美味しい時に上を向くのは「香り」を楽しんでるからです。
美味しい素材、料理は香りが豊かなんです。あの仕草とかはちょっとリアルでしたね。
あのレストランは飲食業界の理想像です。
このドラマに憧れて飲食の世界に飛び込んだ若い人も少なくないだろうな。でもドラマと現実は全く異なります。
みんなで一丸となって料理を作りだしてミシュラン三つ星を目指そう。
そりゃ聞こえは美しい。だけど僕が何十人、何百人ものシェフにインタビューしてきた話とあまりに乖離がある。
ワンマンシェフのパワハラ、先輩からのイジメ、過酷な労働環境、報われない世界。
すみません、別に夢と希望を打ち砕く気はないんです。
すべての飲食店がそうだとは言わないが、こういう闇の部分は必ずしも存在してきたわけで・・・。特に昔のフレンチ業界はそりゃ酷いものだったと聞いてます。
ドラマではあまりにキラキラしてるが、実際のところは結構ドロドロしてます。
まぁこれはどの業界もそうですよね。
だからこのドラマを見た時、料理人たちの「あぁ、こうなればいいな」という理想像をドラマにしたんだなと感じました。
ツッコミ所満載ドラマ
本筋はいいとしてこのドラマ、ツッコミ所が多すぎやしないか?
登場人物全員、3年前の首脳会談擦りすぎでしょ。リンダもライターさんも。
「私の顔に泥を塗った」ってずっと3年間も恨んでるちょっと気持ち悪い女、マチコリシャール。
あんた、ただのフーディーなだけで人の厨房勝手に入るってどんな神経してんのよ。
平子翔平、もはや前編後編で性格変わり過ぎでしょ。
平子の彼女、謎にホラーテイストなんなん?可愛いんだけど、画びょう忍ばせるって昭和じゃん。
3話目のジビエの話だけど、臭みがないからいいというのには疑問。ジビエって多少の風味(血)がないとジビエらしくないんだよね。
例えばラムとかそう。「臭みは香り」と捉えると「ラムらしさ」って必要だと思うんだけど。まぁ腐敗の臭みはアウトだけど。
5話のキムタク様が「二つ星で何が嬉しいんだよ!」のセリフが「ちょ、待てよ!」のテンションのまんま。
6話は芹田の暴走。多分もっと尾花のメンタルケアあったらこんなことにならなかったんだろうな。
10話の「ミシュラン用のメニューの開発」ってなんなんの?ミシュラン用って。
「ミシュランのために特別なことはしない」って倫子シェフのセリフは一体なんだったんだ。
世界ベスト50で「gaku」が10位以内に入ってるのに、何故かミシュラン二つ星から落選。
一気に二つ星が消えるってよっぽどのことがない限りないでしょ…
そして、
星一つもないのに初年度でいきなり三つ星はありえない。
まぁ、それを言っちゃあ、おしめぇよ。かな。
テーマは秀逸
とは言いながらも各エピソードのテーマは秀逸だと思いました。
7話。いわゆるトップを目指す料理人と子育てを両立できるかという話。
僕の知り合いのワンオペのフレンチシェフは最近2人目の子供ができたばかりなのに全然家に帰れていない。それもフレンチってやたらと仕込みに時間がかかる上にワンオペでやるものではないジャンル。
だから必然と子育ては奥さんに任せっきりになってしまうという現実がある。
ドラマではミッチーが定時で帰ってましたが、実際はレストランに戻ってきてたし現実的ではないよね。
トップを目指すことは大きな犠牲の上に成り立っているというのがよく理解できる回。
まぁ、三つ星狙う料理人をバカ呼ばわりする嫁は過剰としても、彼女の言ってることは現実的ではあると思う。
8話は尾花の師匠の話。常連客1人1人の好みに合わせて料理を作っていた師匠で「客に向き合う」ということがテーマ。
なんだか客に向き合わず店の都合で機械的に一斉スタートするお店を思い出した。レストランだって高単価取ってるんだから本来はお客さんのためという気持ちを忘れてはいけない。
「町場の洋食屋が高級レストランより格下って勝手に決めつけてんじゃねぇよ」このセリフ、痺れます。
師匠と尾花の関係はワンピースのサンジとゼフ?
敵がことごとく小物
本作、敵がことごとく小物でスケールがだいぶ小さいんです。
4話目、栗のデザートの回。初日でリンダが来る日に、「gaku」のオーナーが超子供じみた小細工を仕掛けてくる。彼のマインドまぁまぁヤバいでしょ笑
「雲丹出とるやないかい!」は爆笑セリフ。
6話の芹田にグランメゾン東京のレシピを盗ませるくだりも苦笑い。「レシピ通りに作ったんですけど…」ってお前素人かよ…
9話の中村アンがノロウイルスを仕掛けるというもめちゃめちゃ幼稚な戦略。
リンダが命じさせたんだけど、こんなやつが世界一のフーディ?勘弁してくれ。
敵っぽいけど一番まともなのが「gaku」の丹後シェフじゃないか。
最後に、一言。
このドラマでフレンチが流行ったのではない、
キムタクが流行っただけ。
この記事は劇場版『グランメゾン・パリ』に続きます。
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