考察『事故物件 恐い間取り』|この映画そのものが「事故物件」と化した3つの要因

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ホラー

2020年に公開された映画「事故物件 恐い間取り」は、『リング』の中田秀夫がメガホンを取り、亀梨和也×奈緒×瀬戸康史で“実話ベース怪談エッセイ”を映画化したJホラー。心霊スポットに行く怖さじゃなく、住む怖さ。

でもこの映画、ホラーとしては全然好みじゃなかった。むしろ近年稀にみる駄作だと思ってしまった。

今回もネタバレ全開でその理由を記事にしていきます。

基本情報

作品名:事故物件 恐い間取り(英題:Stigmatized Properties / Jiko Bukken: Kowai Madori)

公開:2020年8月28日(日本)

製作国:日本

ジャンル:ホラー

監督:中田秀夫(『リング』『スマホを落としただけなのに』など)

原作:松原タニシ『事故物件怪談 恐い間取り』(竹書房)

出演:亀梨和也、奈緒、瀬戸康史 ほか

上映時間:111分

配給:松竹




あらすじ

TV番組の出演を条件に、「事故物件」で暮らすことになった芸人のヤマメ。
その部屋で撮影した映像には白い”何か”が映っていた・・・。
番組が盛り上がり、ネタ欲しさにさらなる怪奇現象を求め、事故物件を転々とするヤマメ。
“事故物件住みます芸人”としてブレイクしていく一方で、次々と怪奇現象に巻き込まれてしまう。
そしてある事故物件で、ヤマメの想像を絶する恐怖が待っていた―。




どうした?中田監督!

久々に酷い映画を観た。

なかなかないよ、酷い映画を観るって。

そもそもこの歳になるとなんとなくヤバそうな映画って経験値でわかるので大きなハズレを引くことはなくなったが(あえてクソ映画を観るということもあるが)、今回は久々にやってしまった。

期待して裏切られるほどショックなものはない。

だって、中田監督といえば「リング」が最大の大ヒット作だけど、個人的には「女優霊」が好きでホラー映画に関しては一目置いてた監督さんだったから。

静かな恐怖を描かせたらピカイチで「リング」ブームは欧米まで感染し、アメリカのホラー映画がいままでモンスター系のワンパターンだったのが、「静」を取り入れ始めたのも中田監督の功績だと思っている。

個人的には「リング」以降だんだんとホラーから遠ざかってしまい中田監督の作品を観る機会がなくなってしまったと言う事もあって今回はある種「相当久しぶりの再会」となったのだが、その久しぶりの再会でまさか大きく落胆させられるとは。




①ホラーは我慢強くいかに蓄積していくか。

そもそもホラーの鉄則は「単発的な出来事」ではなく「蓄積」の結果だと思っている。

例えばホラーならジワジワーっと「何か嫌だな…」と思わせた回数が多ければ多いほど観てる方はドキドキしてくる。

それが徐々に大きな不安や恐怖に繋がり、しまいにはちょっとしたことでもビクビクする様になりラストでドーンと脅かす。

「リング」だって気持ち悪い感じのシーンをちょくちょく挟み、徐々に気持ち悪がらせていってからあのラストのテレビから貞子が出てくるシーンで一気に爆発する。

逆にそう言ったプロセスを一気に省いていきなり冒頭で貞子がテレビから這いつくばって出てきたら失笑でしょう。

いきなり「エクソシスト」で逆ブリッジのシーン出てきたら混乱するし笑ってしまうでしょ?

実はホラー映画を成功させるには緻密な恐怖の前戯が必要です。

これは恋愛もそうだしなんだって当てはまります。

ラストがたとえ荒唐無稽でもそこまでのプロセスである程度、人の感情を盛り立てていればそのまま突っ切ることもあるのです。

だけどこの映画の致命的な欠点はことごとくその「昂り」を邪魔されるんです。




②原因は芸人たちの存在。

主人公のヤマメは芸人なので仕方ないかもしれないがクロちゃんやビーバー、高田純二が出てくる度に緊張感が一気になくなってしまう。

松原タニシという芸人さんが原作なので仕方がないのか。

確かに緩急も必要だとは思うがこれでは怖がらせたいのか笑わせたいのか何がしたいのかよくわからない。

どうしたって彼ら芸人たちがホラー映画に出ることってホラー映画にとってはマイナスでしかないからだ。

むしろ彼らが出ても特に笑えなかったので「もはや誰も得しない」という、ある意味これが事故物件である。

もうシンプルに邪魔である。

それだけではなくちょっとしたラブストーリーなんかもぶち込んでくるもんだから余計に感情の持って行き場が散漫になり恐怖に集中できない。

普通に考えていくら恋心だろうがヤマメに利用されて事故物件で怖い目に遭わされたんだからあそこまでヤマメにこだわる意味もよくわからない。

とは言ってもこの映画、題材はなかなか悪くはないと思う。

事故物件なんてホラー映画にするなら格好の素材である。

ところが大きく滑った。

理由は上記に挙げたことだけではない。




③おばけが大集合するラストシーンのチープさと言ったらギャグ以外のなにものでもない…

特にダースベーダーみたいな格好のラスボス。

正直、唖然としてしまった。

ビジュアル全然怖くねぇし!!

しかも線香の火を吹いてやっつけるってこれではあまりに雑魚すぎるしお粗末すぎる。

一体何がしてぇんだ?

最後の最後で中田監督はどうでも良くなってしまったとしか考えられない。

このシーン、映画館ではどんな空気だったんだろうか?むしろそっちの方に興味がある。

ホラー映画の初歩的な緊張と緩和に失敗しラストの盛り上がりで大いに失笑をかった映画。

中田さん、本当にどうしちゃったんだろう。

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