【実話考察】Netflix『ダーマー』なぜ彼は殺人を犯し遺体を食べたのか?

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Netflixオリジナル

Netflixオリジナル『ダーマー モンスター:ジェフリー・ダーマーの物語』は、実在の連続殺人犯を題材に「加害者の内面」「被害者の視点」「警察・社会の機能不全」を三層で描く全10話の犯罪ドラマだ。

視聴を進めるほど、「なぜこんな事件が長期間見過ごされたのか」という根源的な問いが浮き彫りになる。

本稿はネタバレ最大で、作品の見どころと論点を考察する。

基本情報

タイトル:ダーマー モンスター:ジェフリー・ダーマーの物語

(Dahmer – Monster: The Jeffrey Dahmer Story)

配信開始日:2022年9月21日(Netflixにて全世界同時配信)

話数:全10話(1話あたり約45〜60分)

ジャンル:犯罪ドラマ/伝記/スリラー

制作・配信:Netflixオリジナル作品

クリエイター(製作総指揮):

・ライアン・マーフィー(American Horror Story, Glee などで有名)

・イアン・ブレナン

出演:

・エヴァン・ピーターズ(ジェフリー・ダーマー役)

・ニーシー・ナッシュ(グレンダ・クリーブランド役)

・リチャード・ジェンキンス(ライオネル・ダーマー役)

・モリー・リングウォルド(シャリ・ダーマー役)

・ペン・ギルダー(刑事役 など)




あらすじ

実在した連続殺人犯ジェフリー・ダーマーの視点を軸に、彼が犯した凶悪犯罪の実態と、事件を防げなかったアメリカの警察制度や社会的背景を描く。被害者、家族、近隣住民の視点も交えながら、なぜこんな事件が長期間にわたって見過ごされたのかを問う重厚なドラマ。




スローテンポのストレス

この話、同性愛者」に「殺人」、さらに「食人」と言うスリーショッキングな実話。

まず映像的な話からするとおそろしくテンポが悪い。昨今のNetflixでは珍しいタイプかも。

1話目の冒頭から長く、すぐに黒人男性が殺されるかと思ったらダーマーが捕まる話でした。

観るのをやめようかと思ったくらいだが、不快な停滞を共有させることで、「見過ごしの時間」を追体験させてるのかな?

え、考えすぎ?

でも実際けっこうじれったいシーンが続きます。これって事件の通報があってもそれが全く明るみに出ないじれったさと繋がってるような気がさてなりません。観客に快適なテンポを与えない選択は、娯楽作ではリスキー。

しかし本作は「無視された時間の重み」を主題に据える以上、戦略として妥当なのではないでしょうか。




なぜ警察は止められなかったのか

「ダーマーは何度も止められたはずだ」という感想は、多くの視聴者が抱くはず。

蛇行運転での職務質問、未成年被害者の保護ミス、隣人の繰り返しの通報——機会は確かに存在したでは、なぜ失敗したのか。

警察が危険信号を見落とした背景には、いくつもの偏見が折り重なる“バイアスの重層化”がある。

同性間の問題を「男性同士の私事」と矮小化する視線、

同性愛への差別意識、

黒人やアジア系への人種バイアス、移民・貧困層への無関心

――これらが同時に作用した結果、明白なリスクさえ「大事に至らない」と誤って処理される。

警察官一人の判断ミスではなく、現場の空気そのものが危険を誤検知する。

地域側の「慣れ」も見逃せない。

隣の部屋の黒人女性もかなりの被害者でしょう。

騒音や悪臭の苦情が日常化すると、住民の通報は「またいつものやつ」と受け取られやすく、信頼度が逓減する。

いわゆる狼少年効果が働き、異常値が平常値として扱われる。小さな異変が積み重なっても、誰もブレーキを踏まない。

夜中に殺害される音をずっと聞き続けたストレスはPTSDになる可能性大でしょうね・・・。むしろ迷惑なクレーマーとして処理されていたのに苛立ちがあったことでしょう。

偏見が通報の重みを下げ、惰性が判断を遅らせ、地域の慣れが危機感を鈍らせ、連携不全が最終的な歯止めを外す。見過ごしは偶然ではなく、構造そのものが生んだ必然だった――本作はそう告げている。




なぜダーマーはこうなったのか?

この作品で最も関心のある点だったが、残念なことに明確な回答が得られませんでした

高校も退学、大学も退学、軍隊も除隊、バイトもクビ、ゲイクラブも出禁という超社会不適合者。

「僕は生まれつきこうなんだ」と開き直られてもねぇ。

同性愛を公にできない空気、父親の影響(解剖への強い関心)、孤立・アルコール依存・職の喪失などを重ね、彼は生まれつきの悪魔ではないと示すものの、それらが直接殺人につながるかと言えばちょいと無理があるように思えるんだけど・・・。

そもそもようやく恋人のような存在の声が出せない障害を待った黒人に関しても、「次いつ会える?」と詰め寄り、危うくハンマーで殺そうとする。このシーンもわからなかった。

え?自分のものにしたいという独占欲の果てに殺人があるの?

自分の思い通りにならなかったから殺して食べるのか?

そう、彼が人を殺す動機が最後までいまいち不鮮明なんです。

けっこうな尺をとっておきながらダーマーについては余計わからなくする手法はなんでしょう?

極めて自分勝手で、自分の欲求しか向いてない人間なんだとよくわかるがこれでは彼が人を殺す理由が不鮮明すぎて考察もクソもない気がする。僕はこのエピソードを観てダーマーのことを理解できると思ってたいたがすっかり裏切られてしまった気分になった。

ただし父親も父親だ。愛人を作り何カ月も帰ってこないわ、「大学へ通わせてやる」「軍隊へ入れ」だの逐一命令ばかりで全く息子に向き合う姿勢が感じられない。母親もニグレクトで子供を残して出て行ってしまうので、確かに彼の家庭環境的には同情の余地はあるが・・・

でもそんな家庭環境はダーマーに限らずあるわけでそれが殺人を犯し、遺体を食べるまでいく要因にはなり得ないかと。子を持つ親の身としては「なぜそうなったのか?」という疑問に答えが出ないもどかしさがある。

それとも彼が自分の口で言ったように、

「僕は生まれつきこうなんだ」なのかな…。

とある精神衛生がこんなことを言っている。

ダーマーは、ロマンチックな存在にしやすい連続殺人鬼だ。求めていたのは、愛とぬくもりだけ。それを得ようとした方法が極端に異常だった
(精神衛生ソーシャルワーカー アビゲイル・ストルベル)

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