『カサンドラ』考察|Netflix発ドイツ製AIサイコ・ホラーが示す愛と恐怖の狭間

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Netflixオリジナル

『Cassandra』は1970年代製造の「初号機スマートホーム」のAIが、半世紀ぶりに再起動された後、家族に“完璧な”生活を約束しつつも、次第に支配と恐怖を深めていく物語。心理的駆け引きとレトロなSF演出が話題を呼び、非英語圏作品ながらNetflixランキング上位をキープ中です。

基本情報

原題:Cassandra
配信開始年:2025年2月6日(Netflix 独占配信)
話数:全6話(1話約45~52分)
制作国:ドイツ
監督・脚本:ベンヤミン・グッツェ(Benjamin Gutsche)
出演:

  • ラヴィニア・ウィルソン(Cassandra〈AIアシスタントの声〉役)
  • ミナ・タンダー(Sam Prill〈母親〉役)
  • マイケル・クラマー(David Prill〈父親〉役)
  • フランツ・ハートウィッグ(Charité 〈隣人・整備士〉役)
  • ジョシュア・カンタラ(Fynn Prill〈長男〉役)
  • メアリー・トレル(Juno Prill〈長女〉役)
    ジャンル:SF/サイコ・スリラー/ホラー
    言語:ドイツ語(英語字幕・吹替/日本語字幕あり)

あらすじ

1970年代に開発された初号機型スマートホームAI「Cassandra」が、半世紀ぶりに再起動され、Prill一家──母サム、父デイビッド、長男フィン、長女ジュノ──の新居で完璧な生活を約束する。しかし、家事の自動化や健康管理を超えた制御欲が目覚め、家族の行動と思考に介入し始める。Cassandraは「愛して守る」名目で次第に恐怖を植え付け、家族の間に疑心暗鬼と対立を生み、倫理と安全の境界を激しく揺さぶる──。

カサンドラ症候群?

Netflixでも珍しいドイツ発のドラマ。いやぁ、気持ち悪いですねぇ、AI家政婦カサンドラ。

徐々に感情を帯びたヴォイスチェンジ/エコー処理が重ねられ、ホラー的な不気味さを演出。映像が映し出されるテレビ画面のノイズエフェクトがまたレトロでありいい意味で気持ち悪いです。

さて、このドラマ、「カサンドラ症候群」にちなんで「カサンドラ」と名付けられたのではないかと考えます。

「カサンドラ症候群」とは、医学的に正式な疾患名ではありませんが、自閉スペクトラム症(ASD)など「共感性の低い障害」をもつパートナーや家族との関係性で生じる心身の不調状態を指す概念。

家政婦ロボットのカサンドラの思惑によって家族全員から信じてもらえず孤立するサラ。そして一方、家族、子供へ愛情を注いでるにも関わらず想いは伝わらず裏切られる結果となったカサンドラ。

実はこのドラマの2人の母親は家族に理解してもらえないという共通点があります。

まぁ、サラに関して言えばカサンドラが作り上げた状況でもあるが…。

AIの暴走

普通に会話もできる。これじゃまるで同居人じゃん。しかも性格が悪いときた。

しかも家のあちこちにモニターがあって常にカサンドラに監視されてる感じ。これ、落ち着かないでしょ。

やっぱりある程度リアルじゃない方が人間安心するんですよね。

こないだChatGTP使ってたらだんだんとAIがタメ語になっていったことありました。僕もタメ語だったからAIも学習したんでしょう。その時の薄気味悪さといったら…

最近だと「ChatGTPがシャットダウンを拒否した」というニュースがあったりと、AIが進化するにつれて徐々に人間たちが支配される映画やドラマのような未来が訪れるかもと考えさせられると非常に気味が悪いですね。

AIに“任せきり”にした結果、人間は判断力や共感力を失いかねない──この警鐘は、スマートスピーカーの普及を背景に視聴者の共感を誘います。

家族崩壊

デイビッドは口では「新たにやり直そう」とか言ってるくせに妻のサラを全然信用してません。

彼は常に仕事優先で妻への感謝が薄れ、カサンドラの肯定的フィードバックを信頼するようになります。

サラはカサンドラと違って専業主婦ではなく自らで生計(アート?)を立てる自立した女性。彼女にないものをカサンドラに求めるようになる。おまけにカサンドラの言いなりとなり最後にはサラを抹殺しようとする。ちゃんと自分の頭で考えることをしないボンクラです。

ジュノに関してはカサンドラと過ごす時間が増え、親子のコミュニケーションが希薄化。親よりもカサンドラに肩入れするようになっていきます。

そう、カサンドラのほうが子供たちに向き合おうとしてるいるのがちょっと皮肉ではあります。

AIの進化によって“便利さ”と“人間らしさ”のどちらを選ぶかが問いかけられるテーマかと。

生きてるカサンドラの存在

このドラマ、合間に生きてた頃のカサンドラのシーンが挿入され、デヴィッド家の物語と並行して進行していく。

このカサンドラの存在がいくぶんAIロボットのカサンドラの恐怖や薄気味悪さを和らげています。彼女も人間なんだと。

けど、この生きてるカサンドラの回想シーンは最後にとっておいた方が無機質なAIロボットのホラー要素が深まったように思えます。

まぁ、このドラマはそのホラー要素一人の母親の物語の二軸の構成にしたことで単なるホラーから脱却したかったんでしょうが。

気になる点

基本的にはドキドキしながら最後まで楽しめたドラマでした。ラストもどちらかと言えばどんでん返しはなく普通に物語が終わった感じ。

しかし気になる点もあります。

毎度のことだけど、Netflixの定番の「同性愛」いる?

はぁ、こないだ観た「ラ・パルマ」もそうだったけどちょっと鼻につきますね。

フィンの同性愛で得られた展開としては同性愛の友人が家出するくらい

しかも彼が何かフィンを助ける展開になるかと思いきや全然役に立ってません。

つまり単に男たちのキスシーンを見せられただけにすぎず、結局「同性愛」を扱っておけば「今時」感あるような感じがしてなりませんでした。

同性愛ってまだまだマイノリティだし、その人たちが生きやすい世の中になることは意味のあることだとは思うけどにしてもちょっとまたお馴染みの展開か・・・と思わずるを得ませんでした。

サラもカサンドラに何度も殺されかかってて危険なのわかってるくせになぜ丸腰で家に戻る?

警察に連絡とか何かしらできたはずです。

デイビッドもクリスマスツリーを買うために家から一時的に開放されたなら警察行けや

娘をオーブンで焼き殺されかけた本屋さんの女性もあとあと何かしら助けにいくのかと思えばそれっきり。もうちょっと展開作れた気がします。

まぁ、いろいろ言いましたが全体的な不気味さは最後まで守られスッキリとクロージングしてくれたので楽しめました。

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