Netflixオリジナル映画『ドント・ムーブ(Don’t Move)』は、
筋弛緩剤で体が動かなくなった主人公が、連続殺人鬼から逃げる…という異色のサスペンス。
設定だけ見ればちょっと面白そうだと思うかもしれません。
でも観たあとにはこう言いたくなります。
「すみません、これに92分使った自分がバカでした。」
基本情報
タイトル:ドント・ムーブ(Don’t Move)
配信開始日:2024年10月25日(Netflix)
上映時間:92分
製作国:アメリカ合衆国 ジャンル:サスペンス、スリラー
監督:アダム・シンドラー、ブライアン・ネット 脚本:T.J. シンフェル、デビッド・ホワイト
製作:サム・ライミ、ザイナブ・アジジ、アレックス・レボヴィッチ、クリスチャン・メルクリ、サラ・サランドス
出演: ケルシー・アスビル(アイリス役) フィン・ウィットロック(リチャード役) モレイ・トレッドウェル(ビル役) ダニエル・フランシス(警察官ドントレル役)
あらすじ

主人公アイリスは、息子マテオを事故で失った悲しみから自殺を考え、カリフォルニア州ビッグサーの森を訪れます。そこで出会った親切そうな男性リチャードに慰められ、自殺を思いとどまるものの、彼の正体は連続殺人鬼でした。リチャードはアイリスに筋弛緩剤を投与し、彼女は徐々に体の自由を失っていきます。完全に麻痺するまでのわずかな時間で、アイリスは逃走を試み、サバイバルを繰り広げます。
「動けない主人公」という縛りに脚本が完全に負けている
なんでしょう。まず一言。全くハラハラしない。
そもそも自殺したい人が主人公なので危機に面しても何も思わないというか、ドキドキもないんです。
「死にたくない」という強い動機が感じられないので追われても「ああ、どうでもよくない?」という気分になってしまう。
本来ならスリラーに必要な「生きる意志」が希薄なため、
命を懸けたサバイバルがただのごっこ遊びのように映る。
まぁ彼女には彼女なりの子供を失った喪失感があるのは理解できるけど。
設定に振り回されすぎた脚本
要は「身体が動かない人間が殺人犯からどう逃げるか?」というゲーム的な要素の映画。
この作品、設定先行型の典型です。なんだかこの設定にするために必死です。深みとかありません。
・広大な山での追いかけっこ
・警官がなぜか1人で突入して撃たれる
・犯人の動機が一切わからない
…全部盛ってるけど、何一つ活きてこない。
声を出さなきゃ見つかるわけないのに何故か犯人に見つかる謎設定。
主人公は筋肉弛緩剤を打たれてほぼずっと動けない状態。
タイトルの「動くな」っていうか、「動けない」んです。
なんだろう、何故この殺人犯がこの女に執着するのかよくわかりません。
謎が謎を呼ぶストーリーなのに何故かドキドキしません。
動けない主人公だとストーリーを盛り上げるには周りの人が動くしかありません。殺人犯も物語を盛り上げるために必死です。
警官って1人で行動するの?人を殺してまでもこの女をさらう理由とは?ドキドキも感動も何もない。
挙げればキリがないのですが、演出も雑で緊張感がまるでありません。
なぜか犯人は毎回“絶妙なタイミングで”現れる。
その都度「はいはい、また来た」みたいなテンションになる。
「ドント・ムーブ」じゃなく「ドント・ウォッチ」にすべき
タイトルは「Don’t Move(動くな)」。
でも観てみたら「動けない」だけの映画です。
正直、「Don’t Move」っていうより「Don’t Watch(観るな)」の方がしっくりくる。
物語としての深みもなければ、感情的なカタルシスもない。
筋弛緩剤という仕掛けを用意したはいいけど、それだけ。
あとは90分間、延々と動けない主人公を眺めるだけの時間です。
この映画は時間潰しにもなりません。あなたの時間を奪うだけの悪質な映画です。
久々にこんなにつまんない映画を観た。
あなたの人生を奪う、しょうもない映画です。
すみません、あざっす!