2020年に公開された映画『MOTHER マザー』。
主演は長澤まさみ。
実際に観てみると、想像を遥かに超えてくる重苦しさと救いのなさに、しばらく言葉を失ってしまった。
これはホラーよりもホラー。
しかも、「実話を基にしている」ということでなおさら背筋が寒くなる。
基本情報
タイトル:MOTHER マザー
公開日:2020年7月3日
上映時間:127分
監督:大森立嗣
脚本:港岳彦
プロデューサー:河村光庸
配給:スターサンズ、KADOKAWA
指定:PG-12
公式サイト:https://mother2020.jp/
あらすじ
シングルマザーの三隅秋子(長澤まさみ)は、男たちと行きずりの関係を持ち、その場しのぎの生活を送っていました。息子の周平(奥平大兼)に異常な執着を見せ、彼に忠実であることを強いてきました。周平は母以外に頼るものがなく、母の要求に応えようともがきます。やがて、母子は社会から孤立し、17歳となった周平は凄惨な事件を引き起こすことになります。
ネタバレ感想

うわー…これ、実話ですか。
ちょっとホラーよりもホラーじゃないか。
一応、僕も2人の子供をもつ父親なんですが、1%も理解ができない、共感できない。
いや、共感できる人はいるのかな?そんな人が近くにいたらすぐに縁を切ることを勧めます。
彼女は働かない。
人を不幸にしてまで、子供を危険な目に合わせてもどこ吹く風。ひたすら自分の子供に金を無心させるヤバい女。
それでもなお自分の子どもにだけは異常な執着を見せ、依存し、コントロールしようとする。
全然違う宇宙人みたいな価値観の女性の物語がずっと続く。
正直、ずーっとしんどいし、重い。
みんなが突っ込むところだけど、なんで自ら働かないのか?笑
この映画における最大の疑問は、「なぜ彼女はここまで人間らしさを失ったのか?」という点。
そこへの掘り下げが一切ないから、観客はただただ困惑する。
過去に虐待されたわけでもなく、何か特別な事情があるわけでもない。
ただ“そういう人”として描かれている。
それが逆にリアルだとも言えるが、背景が描かれないがゆえに共感性がゼロ。
観客はずっと「なぜ?」という違和感を抱えたまま、127分間を過ごすことになる。
腹を痛めて生んだ自分の子供に1mmも愛着がないように思える。そのくせ子供ができたら「産む!」って身勝手過ぎるでしょ。
母親以外の人間と関わる機会を奪われ、教育も受けられず、誰からも守られることなく育った少年。
母親からの愛情を信じたいがゆえに、母の言うことには絶対服従。
母が妊娠すれば「産む!」と叫び、金が必要になれば「取ってこい」と命じる。
それでも息子は彼女の愛を信じ続ける。
母親としか人と人との関わりを持つことができなかった可哀想な息子は、殺人を犯しても母親のかたをもつ。
母親も子供に依存する。生きるために。
だけど殺人を犯したら犯したであっさり子供を切り捨てる。そして息子は母親をかばい罪をかぶる。
貧困が生んだモンスター親子です。
だけどこういう家庭環境って日本には存在するだよね。
長澤まさみはこの中年女性の役やらせたら上手い。もともとぼってりした身体だけどなんだかリアルです。
まとめ
『MOTHER マザー』は、「とにかくしんどい」「逃げ場がない」映画だった。
でも、それがこの作品の最大の意義でもある。
私たちが普段見ないふりをしている“家庭の闇”を、真正面から叩きつけてくる。
ただし注意点として、鑑賞にはある程度の覚悟が必要。
そして観終わった後に残るのは、涙ではなく、無力感と虚無感かもしれない。
1つも共感できなかった為、「考えさせられる」というより、日本の底辺を覗き見したような感覚の映画でした。